「キニナル新商品」
『トレネ』(税別6800円/キングジム)

カフェなどで原稿を書いている時、困るのはトイレです。具体的には、トイレに行っている間の荷物の管理。財布やスマホならズボンのポケットに入れて行けますが、ノートパソコンはそうはいきません。

トイレってノートパソコンを安定して置けるだけのフラットな場所がほとんどないんですよね。小の場合は小便器の壁に紙袋程度なら置けるスペースがありますが(男性ならわかってくれると思いますが…)、そこに立てかけるのはちょっと怖い。倒れて落ちたら致命傷だし、小便器に落ちようものなら……。

個室の場合は床に置くしかないのですが、たとえキレイでも気が引けます。一応、商売道具なわけで、できれば不浄な場所に裸で持ち込みたくないのですよ。

なので仕方なくリュックに入れて、小の時は背負い、大の時は個室のフックに……あー、めんどくさ!

その点、2月にキングジムから発売されたコレは優れもの。

11_「トレネ」
(キングジム提供)

パソコンの上に置いて使うのですが、アプリで連動させたスマホが一定の距離以上離れると自動的に〝見守り中〟になります。そしてその間に誰かがパソコンを動かそうとすると、振動を感知してアラーム音で知らせてくれるのです。

で、無事に用を足して戻ってくれば自動的に解除してくれるので、いちいち電源を入れたり消したりする手間がないという。

チョ~便利!

ネットで見て思わず「これだ!」と叫んじゃいました。

そのままAmazonでポチリ。

翌日、到着したしたソレを、ファミレスで試してみました。

なんだかちっちゃな富士山みたいな形。

直径4センチ・高さ2・9センチ、重さは約18グラムということですが、数字よりももっと軽く感じます。ただでさえコード類・バッテリー類などPC周りの付属品が多いのですが、これが加わってもスペース的、重量的にもなんら問題ないと思われます。

充電時間はPCのUSB接続で約2時間。これはあらかじめ家でしてきました。連続使用時間は約20時間です。今書いている段階で最初の充電から3週間くらいたっていますが、そんなに使わなかったこともあり、バッテリーは40%くらい残っていました。頻繁に使う人でも週一くらいの充電でいいのでは。いざという時は充電しながらでも機能することを確認しました。(ちなみにUSBコードは付属していません)。

まずは主電源を入れ、これも予めダウンロードしておいた専用アプリを使ってスマホとペアリングします。ブルートゥース接続です。

ペアリングが済んだら「距離設定」をします。どこまで離れたら”見守り”にするのかを決めるのです。「自動設定」なら実際に離れて”ここだ!”と思うところでOKを押せば設定できます。「マニュアル設定」にすれば、画面上のスライダーを動かすことで設定できます。

次は「動き設定」です。アラームが作動する動きのレベルを3段階で設定します。レベル1は自宅やオフィスなど振動の少ない場所用、レベル2はカフェやレストランなどまれに振動がある場所、そしてレベル3は乗り物の中など振動が多い場所です。とりあえずレベル2に設定しました。本体を動かしてアイコンが赤くなれば設定したレベルで正しくアラームが作動します。

「詳細設定」で、アラームの音量や、LEDの光のパターンも設定できます。大事なのはアラームの停止方法。「再接近で停止」(ペアリングしたスマホを近づけると止まる)「電源ボタンで停止」「アラーム自動停止(60秒)」の3項目があり、全て選ぶこともできます。


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さて、すべて設定したら「スタンバイ」状態になります。

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スマホを持って設定した距離より外に離れれば、自動的に”見守り”状態になるはずです。別に尿意は便意もありませんでしたが、トイレに行ってみることに……。

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ちょうどトイレの手前くらいで、ポケットの中のスマホが”ブルッ”と震えました。画面には「見守り中」の通知が。

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アプリを開くとご覧のような画面が表示されていました。
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不思議なものでトイレに行くと自然にもよおすもんですね。小をして席に戻ると、ソレは赤く点滅していました。だが、やがて緑色に代り、スタンバイ状態に戻ったことがわかります。スマホの画面もこのように変化していました。

さて、これがどれくらいの”盗難防止”力があるかどうか? 実は家でちょっと試してみたんですが、スマホを遠くに置いて、泥棒のつもりで持ち上げてみたんです。

使い方_トレネ_危険イメージ
(キングジム提供)

実は、かなりソーッとやれば鳴りませんでした。

しかしカフェでそんなことをやれば完全に怪しまれますよね? 

しかも、こんな変なモノが乗っているパソコン、わざわざ盗もうとは思わないはず(よほどの場合は、奪って走って逃げるという手もありますが、そこまで狙われるような重要なPCなら、それこそカバンに入れてトイレに行くことです)

つまりこれは一定の抑止力がある以上に、”安心力”が最大の売りなのです。

「これやっておけば大丈夫だよね」とい安心させてくれる力。これ、あると無いのとでは大きな違いだと思います。毎日のことですからね。小さなストレスも積もり積もればけっこうな負担です。僕はなるべく気持ちよく仕事いたいので、”気休め”上等!なわけです。

ちなみに、テザリングしながらでも使えましたし、途中で他のアプリを使ったりできます。

なるべく目立たず、でもしっかりと主人を守る”ボディーガード”みたいですね。

ちなみにこの商品、クラウドファウンディングで作られたとのこと。常に斬新な商品を作ることをモットーとするキングジム。”この世にない物を消費者に欲しいかどうか聞いてもわからない”と一切市場調査などをしてきませんでしたが、クラウドファウンディングなら的確なニーズがつかめると判断したようです。今のところあまり話題になっていないようですが、個人的にはアイデア、デザイン、使い勝手、いずれも”いいね!”な商品なんですけどね。


※日刊ゲンダイで毎週水曜日に連載中の「キニナル新商品」の記事を大幅に加筆修正しました。