IMG_6240

長野県といえばワインが有名ですね。

「長野県原産地呼称管理制度 」というものを随分前から取り入れていて、長野県産ワインの質の向上に取り組んでいるそうです。

今回訪ねた小諸市にもワイナリーがあります。

「マンズワイン小諸ワイナリー」です。

親会社はどこでしょう?

答えは「キッコーマン」です。

日本を代表する醤油メーカーですね。

キッコー"マン"のワインだから、マンズワイン。

……。

本社工場は、山梨県の勝沼にあります。

1962(昭和37)年に設立された「勝沼洋酒株式会社」を前身とし、もともと加工用トマトの育成に力を注いでいましたが、当時の社長が、トマト畑の視察に長野市の善光寺近くを訪れたとき、農家の軒先に植えられていた立派なぶどうの木を見て、ワイン作りを思いついたのだそうです。

このぶどう、「善光寺ぶどう」といい、調べてみると、高品質のワインができると判明。
IMG_6237

そこで、1973(昭和48)年に、小諸ワイナリーが設立されたということです。

現在、勝沼では大量生産用、小諸では「ソラリス」ブランドの高級ワインを作っています。
IMG_6235

今回、宿泊地である「中棚荘」が、自前で栽培したぶどうをこちらに醸造委託している縁で、見学させてもらうことになりました。

もちろん、試飲も、あるんでしょうね!?

ね!?

***

まずは、会議室みたいなところでビデオやパネルを使って、小諸ワイナリーの成り立ちや「善光寺ぶどう」についてお勉強。

教えてくれるのは、マンズワイン小諸ワイナリー工場長の川俣昌大さん。

いただいた名刺には「博士(農学)」とあります。

ここからして、"うちは品質にこだわってまっせ"という自負が垣間見えます。

川俣さんによれば、こちらの小諸ワイナリーで年間につくっているワインは「ソラリス」シリーズのみ約6万本。

勝沼の本社工場が、約100万本ですから、圧倒的に少ない量です。

ただし、1本あたり3000円〜7000円。

まさに少数精鋭。

で、こちらで使っているぶどうは全て国産。

"日本のぶどうを使った日本のプレミアムワイン"

がコンセプトだそうです。

ただし主な品種は、シャルドネ(白)、カベルネソービニョン(赤)などの西洋品種。

善光寺ぶどうでも作っているようですが、味わいについては、西洋品種に一歩二歩譲ってしまうのでしょう。

ただし、西洋品種は雨と寒さに弱いのが欠点。

つまり、雨が多いアジアモンスーン気候の日本には本来向かないのだそうです。

ところが、小諸は比較的雨が少なく、北海道ほど寒くないので、西洋品種の栽培には向いているのだそう。それでも年間降雨量は約900ミリ程度で、ヨーロッパなどのワインに適した地の降雨量300ミリに比べれば、圧倒的に雨が多い(ちなみに日本の平均は1700ミリ)のだそうです。

そこで、特別な雨対策を、マンズワインはしているといいます。

その工夫を見せてくれると、川俣さんは畑に案内してくれました


***

こちらは、敷地内に合計3aある社内畑の一つ。
IMG_6242

主に実験用に、フランス品種やドイツ品種のぶどうが植えられています。

ぶどうの収穫時期は9〜10月なので、取材時(12月)はほとんどぶどうは残っておらず、荒涼とした景色でしたが、かろうじて残っていた粒(カベルネ・ソーヴィニョンかな?)をひとつまみ試食されてもらいました。

これが甘酸っぱくて、うまい!

まさにエキスの塊。

濃厚さは、食用のぶどうとは比較になりません。
IMG_6240

これがワイン用のぶどうの味なんですね……。

で、雨の多い日本で栽培するための工夫というのが、「マンズレインカット栽培」という方法。
IMG_6239

簡単に言うと、雨よけのビニールを傘のようにぶどうの木の上にかぶせる、というものです。

これ、世界の栽培の常識としては随分とユニークな方法だそうで、特にヨーロッパなどの伝統的な栽培地の人からしたら"なんじゃいそりゃ"というものだそうですが、こうした工夫により、世界にも通用する美味しいワインができているのだそう。

こういうところにも、日本人のものづくりのこだわりがあるんですね。

なお、これはマンズワインが開発した特許(?)で、日本のすべてのぶどう畑がこの方法ではないそうです。

***

さて、ぶどう畑の後は、「万酔園」という庭園に連れて行ってもらいました。
IMG_6243

こちら、客をもてなすための、観賞用の庭園で、やはり閑散期で養生ネットが張られるなど、本来の姿ではありませんでしたが、千曲川など信州の地形と自然を表現しているのだそう。
IMG_6244

IMG_6246

つつじはワインの赤をイメージしているそうです。

樹齢100年を超える善光寺ぶどうの原木も残っていました。
IMG_6245

奥にあったのが、VIP用の地下セラー。


一般人は、年に1回、収穫祭の時にしか入れないという場所に、今回特別にお邪魔させてもらいました。
IMG_6250

秘密の隠れ家みたいでドキドキします。

入り口こそ古めかしかったのですが、なかはモダンなつくり。

IMG_6257

古い瓶そのものが、アンティークなインテリアになっています。
IMG_6253

奥には試飲用のテーブルとグラスのセット。
IMG_6255

ここで、お金持ちの方々は、ワイングラスをくるくるさせながら、"う〜んこのビンテージはちょっとアレかなあ"とか言っちゃうんでしょうか。

ちなみにビンテージとは、製造年のこと。

"当たり年のビンテージ"なんて言葉を聞いたことがないでしょうか。

これは、"気象条件などが特にワイン作りに適していた年"のことだそうです。

実は日本にも"当たり年"があり、それは「2002年」「2009年」「2012年」だそう。

もちろん、ぶどうがよければ必ず美味しいワインになるとは限りませんが、今度日本ワインを買う時は、ちょっと意識してみてもいいでしょう。

かっこいい書斎みたいのもありました。
IMG_6269

まるで館の主人のようにくつろいでいるのは、  同行した温泉紀行ライターのI御大であります。これまでのうん十年の温泉取材をまとめた「温コレ」というサイトを運営しています(ちよっと宣伝)。

シャンデリアがぶどうの形をしています。
IMG_6265

高そうですねえ。
さすがに家に欲しいとは思いませんが。

他にも、ステンドグラスがあったり、
IMG_6264

ドアにはマンズワインのシンボルマークがあったり、
IMG_6273

まるで、中世の城みたいでした。

行ったことないけど。

***

その後、「醸造棟」と「貯蔵棟」に案内してもらいました。
IMG_6277

こちらの小諸ワイナリーは、島崎大さんという方が醸造責任者を務めており、山梨大学の発酵生産学科を経てマンズワインに入社し、その後、本場フランスへワイン留学、ボルドー大学の利酒適性資格とフランス国家資格であるワイン醸造士資格を取得したというワインエリートです。

とにかく、ワイン作りには妥協をしない人だそうで、例えば、収穫したぶどうの枝をより分ける作業は手作業、ベルトコンベアーの一番最後の位置には自ら陣取り、最後の砦とばかりに、葉一枚、小枝一本撮り逃さないよう、血眼でチェックを行うそう。そのため、ベルトコンベアーはスピードを自在にコントロールできるようになっているとか。

また、ワインを流すチューブポンプという機械も、普通のものではモーターで熱が発生し、それがぶどうに悪影響を与えるので、人工透析など医療用のものを使っているそう。

そこまでするか!

いるんだなあ〜、こういう人、どこにも。

でも、こういう人がいないと、ずば抜けて良いものはできないんでしょうね。

天才と●●●は紙一重、とはよく言ったもんです。

(ちにみに私は天才と紙一重ではない、ただの●●●ですが……)


***

さて。

9〜11月に収穫したぶどうを潰してぶどうジュースにし、1〜3週間ほど発酵させてアルコールにしたら、木の樽に詰め、白ワインは約半年、赤ワインは約1年半、熟成させるそう。

樽は、フランス製のオーク材。
IMG_6282

なんとなくずんぐりしたものがブルゴーニュ型、ほっそりしたものがボルドー型、というそうですが、素人目にはあまりよくわかりません。

確かに両者は、瓶の形も違いますからね。

東日本と西日本ではお餅の形が丸と四角で違うみたいなもんでしょうか。

違うでしょうね。

だいたい一樽230リットルで、ワイン300本分。

"樽"そのものは、新品で約10万円するそうてす。

ワイン1本あたり300円が樽代ってことですね。

なので、トップクラスの高級ワインにしか新樽は使わないそうです。

スパークリングワインを作るための道具もありました。
IMG_6285

「ジャイロパレット」という名前で、瓶の口を下にして、オリを溜めるためのものです。

そういえば、セラーにも似たようなのがありました。
IMG_6256
昔は↑こういうのを使っていたそうです。

こちらのワイナリーでは、フランスのシャンパンと同じ伝統的な瓶内二次発酵という製法(シャンパーニュ製法)で、スパークリングワインを作っているのだそうです。

ちなみに、同じ作り方をしても、フランスのシャンパーニュ地方で作ったものでないと、シャンパーニュ、またはシャンパンとは呼べないそう。

それでもついつい、泡のワインは、シャンパンと言ってしまいます。

シャン"ペン"と言わないだけマシですが。

(ちなみに私の親父はシャンペン派)

ずらりと並んだ、200〜300樽のワイン樽。

庫内にはワインの香りがプンプンします。

もう、いい加減飲みたい!

うん、飲もう!

てか、飲ませろ!


***

というわけで、試飲タイム!
IMG_6287

IMG_6288
こちらが白ワイン

IMG_6289
赤ワインもありまっせ

IMG_6292
人気なのはこちら。

IMG_6293
フランスでいうマール、イタリアではグラッパ、いわゆる粕取り焼酎ですな。
工場限定!とか、弱いんだよなあ。

IMG_6295

基本的に試飲は無料ですが……

お高い「ソラリス」は有料です。
IMG_6294

ま、1本3000円以上ですからね。

ただし、空気の入らない特別な機械を使っているので、常に栓を開けたてと同じフレッシュな状態で飲めます。
IMG_6299
後ろにある黒い箱がその機械。

今回、特別に試飲させてもらいました。
IMG_6296
さすが有料だけに、試飲用の器もグラスです。
IMG_6297

う〜ん、どれもうまい!

日本のワイン、特に赤ワインは、どうしても軽い、変に甘酸っぱい、そんなイメージがありましたが、こちらのソラリスの赤いワインは、ちゃんと渋みもあって、(素人なのでよくわかりませんが)海外の赤ワインにも負けない力強さを感じました。

どんな条件でも、それなりのものを作ってしまう日本人て、やっぱすごいな〜。

ただし、ひとこと言わせてもらえれば、これだけ重いワインを飲ませるなら、チーズとかつまみが欲しかった! 口の中がタンニンでパッサパサ! できれば赤身のステーキなんぞを一切れ……あ、買って帰って自分で用意しろって。失礼しました。

***

その後、宿泊旅館である「中棚荘」の自社畑を見学。
IMG_6303

標高830メートルの小高い丘の上にありました。
IMG_6304

60aあまりの畑に、シャルドネ、メルロー、ピノノワールといったぶどうを栽培。

それを現在は、マンズワインで醸造・貯蔵・瓶詰めしてもらっているそうですが、自社でワイナリーを作る計画が進行していて、2018年の秋の仕込みを目指しているそう。

その、ワイナリーの建設予定地も案内してもらいました。

浅間山や、反対方向には遠く八ヶ岳も見える見晴らしの最高な場所です。
IMG_6314

こんな場所で作ったワインは、さぞかしうまいんだろうなあ。

こちら、中棚荘のご主人。モンベルの半纏がおしゃれですな。
IMG_6322

ワイン好きが高じて、自分でぶどうを作るようになってしまった、というお人。

そして、ついにはワインそのものも作ろうという。

ワイン好きにとっては、きっと究極の夢なんでしょうね。

私はそこまでワイン好きではありませんが、とても羨ましく思いました。


(次回は、宿泊した「中棚荘」について紹介します)


※小諸ワイナリーの見学・試飲は無料(ソラリスは有料)
http://www.mannswine-shop.com/winery/komoro/event.htm

※参考=「世界が恋する、NAGANO WINE 」http://www.nagano-wine.jp/special/winery/249/

※データ等は取材時のものです