アンテナショップ激戦区の、銀座・日本橋エリア。
 
具体的には、JR有楽町駅前の「東京交通会館」を中心とした"有楽町・銀座一丁目エリア"、「日本橋」を中心とした"日本橋・中央通りエリア’に分けられますのですが、なかには「こんな場所にあったの!?」という店も幾つかあり、今回ご紹介する「丸の内佐渡特選館」は、その一つであります。

場所は、丸の内3丁目の国際ビル(ちなみに"こくさい"ビルじゃなくて"くにぎわ"ビルと読むんですけどね)。

丸の内仲通り、通称シャンゼリゼ通り(このネーミングはどうなの?と思うが)の道沿いにありますが、帝国劇場の隣のビルであり、地理的には有楽町あるいは日比谷といったほうがしっくりくる場所にあります。

実際、都営三田線日比谷駅の改札から通路が繋がってるし、丸の内駅からだと相当歩きます。

そんな、なんちゃって丸の内エリアのオフィスビルの1階にあるのが、こちらのアンテナショップ。

ビルの前には看板もないので、実際にビルに入ってみないとわかりません。

入っても気づかない人がいるかも。

それくらい小さくて、目立たない店です。
 
日本海に浮かぶ島、佐渡の特産品を中心に、提携する日本各地の島の特産品も取り扱うアンテナショップ。

佐渡ってよく聞きますが、一般の人は金山かトキ、北朝鮮に拉致されて戻ってきた曽我ひとみさんくらいしかイメージがないのでは。

なんとなく孤島のイメージもあるのではないかと思いますが、けっこう大きくて、栄えてるんです。

例えば大きさ。

周囲は262.7km、面積は854.76km。これは、東京都(東京23区・多摩地域)の面積1791.47km2の約48%にあたります。日本の島の中では沖縄本島に次いで2番めに大きい島です。

そして人口。

なんと5万人以上。

逗子市や常陸太田市、沼田市と同じくらいの人です。

ま、そう聞いても、多いのか少ないのかはわかりませんが。

金山があったことや、皇族、世阿弥などの文化人が島流しにされたこともあり、文化的にも優れ、島内には能舞台がたくさんあったりします。

現在でも、ちょっとおしゃれなイタリアンとかあったりして、"信号一つないような自然豊かな 孤島"というイメージとは、まったくかけ離れているということは、新潟県人といては、とりあえず言っておきたいのでありますが、しかし周りを島に囲まれているので、海産物については、めちゃくちゃ豊富です。

冬の寒ブリ、夏の岩カキ、ああ、どれも思い出すだけでダレヨが出ます。

ブリもカキも、富山の氷見や北海道の厚岸などにも負けないのだけど、いかんせん他にも海産物が豊富にありすぎて、宣伝費を集中投入できないので、結果的にブランドイメージが散漫になってしまうんですよね。豊かさゆえの悩みどころではあります。

そんな中で、あまり知られていない佐渡自慢の海の幸が、「甘エビ」です。

正式名称はホッコクアカエビといい、佐渡ひいては新潟県ではその鮮やかな赤色と、形が唐辛子(南蛮)に似ていることから、「南蛮エビ」とも呼ばれます。

確かにブリやカキ、そのほかの魚介類については、新潟以上に優れた産地がたくさんあって、当然ながら品質のいいものは築地に集まるため、実は東京で食べる魚が一番うまいというのが持論なのですが、甘エビについてだけは、"新潟で食べるのが一番うまい"と、これは声を大にしていいたいのです。

これは、希少さとか、高級さ、ではなく、鮮度が第一だからではないでしょうか。

とにかく生の甘エビは足が早い。

東京の寿司屋では──取材などで高級とされる寿司屋にも何度か行ったことがありますが──生の甘エビに関してだけは、"新潟で食べるのとはちょっと別もの"と思ってしまうのです。

まあ、地元への贔屓目も大いにあるのでしょうが、たまに家族旅行や仕事で新潟の日本海側の宿に泊まったりすると、朝食バイキンで朝から甘エビが山のように盛られ、それがプリップリに新鮮で甘いのを食べるにつれ、"やっぱ甘エビ食うなら新潟だよなあ"と思うのであります。

本当に、全国の方々に、新潟の甘エビの旨さを知ってほしいのですが、先程から何度も言う通り、生エビは鮮度が命。

地元以外では、そう簡単に新鮮な甘エビは食べられません。

ああ、残念。

かといって、生をお取り寄せしても(今は保存技術が発達しているので、とれたてと遜色ないとはいいますが)"地元で食べるのに比べたら…"という意識から逃れることはできません。

であるならば、いっそ生は潔く諦めて、そのうまい甘エビの、うまい部分だけをギューッと濃縮して味わってもらおうじゃないか、と作られたのが、この「甘えびパウダー」(50g・760円)であります。

乾燥させた佐渡産甘エビを、丸ごとミキサーにかけて粉々に。

ミソもカラもそのまんまだから、風味&カルシウム満点!

使い方は、みそ汁の仕上げにパッと散らしたり、パスタにかけたりとお好みで。

そう、魚介のパスタとか、オリーブオイルとにんにく、唐辛子でパスタを炒め、最後にちょっとふりかければ、エビ風味のペペロンチーニになりますな。

冷奴やおひたしにもいいですねえ。

お吸い物にさっといれたら、ベタな言い方ですが"料亭の味"になるわけです。

塩気がないので、ふりかけなどにするなら、塩気やお醤油を加えたほうがいいかも。

でもそれって、塩分含め添加物が一切ないので、エビの風味だけを健康的にとれるということ。

塩分を気にせず入れられ、他の調味料の邪魔をしないので、知らずしらずのうちに、料理に旨味が加わる──しかも、和も洋も問わない。こういう"隠し味"、台所に一つあると、便利だと思いますよ。
 
■「丸の内佐渡特選館」
千代田区丸の内3-1-1国際ビル1階 TEL03・6269・9240 11~18時半(土日祝~17時) 不定休


※日刊ゲンダイに掲載した記事を大幅に改変
※データはすべて取材時のものです