いま、再び銭湯ブームだそうです。
かつては、エッセイストの町田忍さんが 銭湯の「レトロ感」にスポットライトを当てましたが、今回は、やはりエッセイストで漫画家の久住昌之さんが、銭湯と「その後の一杯」を結びつけて、銭湯飲み=庶民的のささやかなレジャーという付加価値を与えたました。
銭湯巡りファンの聖書ともいえる、久住さんの「昼のセント酒」を読んでみましたが、単なる銭湯案内にとどまらず、久住さんのこれまでの作家人生を振り返るかのような部分もあり、とても叙情的で読み応えのある名エッセイ集でした。
"どうせ流行りもんだろ"と食わず嫌いの方がいたら、ぜひ読んで見てください。
というわけで、そんな銭湯ブームに乗っかって、私もセント酒ってやつをやってみました。
《湯からあがってすぐ飲みたい人は》
風呂から上がってすぐに一杯飲りたい! という向きは、白金北里通り商店街の「アクアガーデン三越湯」がおすすめです。
こちら、銭湯の休憩所にバーが設えられており、生ビールが500円で飲めるのです。
恵比寿駅からだと徒歩で15分以上かかりますが、風呂上りの一杯のためと思えば苦ではないでしょう。
近くにはそばの名店「三合菴」や古民家バーの「きえんきえら」など、〝2軒目〟には事欠きません。
《マイナーな駅の見晴らし最高な銭湯》
東急大井町線・下神明駅から徒歩5分。
天然温泉が自慢の「宮城湯」の屋上には露天風呂があり、すぐそばを走る東海道新幹線の列車を眺めることができます。
夜は車窓から漏れる灯りがロマンチック。
開放感抜群です。
ただし、屋上露天風呂は毎週火曜日に男女入れ替え。
事前に確認してください。
駅前に戻れば、3軒ほど居酒屋が立ち並びますが、そのうちの1軒「寄楽」は、店主が土佐料理の名店・「ねぼけ」で修行。
なので、珍しい土佐料理のウツボのタタキなどが楽しめます。
メニューにはありませんが、言えばツウ好みの日本酒を出してくれます。
《お肌ツルツルの軟水銭湯》
板橋の日大病院近くの「第二富士乃湯」は、軟水の湯が自慢。
入ると本当に肌がツルツルしてくるんです。
なぜ軟水だとツルツルしてくるのか、よくわからないのですが。
入り口もなかなか雰囲気がありますね
これ、なんだと思います?
傘入れなんです。
穴があって、奥に突っ込むパターンもあり。
飲むなら、すぐ隣の「松葉寿司」がおすすめ。
寿司屋ですが、居酒屋使いが十分にできます。
女将さんのつくる煮物など、お惣菜が絶品!
もちろん、握りもうまいですが。
《情緒の街、神楽坂で一風呂一献》
神楽坂の路地裏にある「熱海湯」は、
全体的に小じんまりした作り。
外観も、内観も、コンパクトサイズで、
都会の中の銭湯という感じですね。
飲んだのは、近くの「樽八」という居酒屋。
劇団民芸の俳優さんの奥さんが経営しています。
特に売りになるお酒もおつまみもありませんが、そこがいいというか、のんびりできるというか。
お芝居をしている方でしょうか、常連さんと女将さんの話を聞きながら、静かに飲むのもまたいいものです(時に話に加わりかがら)。
今回、青森出身の女将さんが、子供のころに経験した、防空壕の話とか、戦時中の貴重な話を伺いました。
《一度は行っておきたい古銭湯》
日本橋人形町の「世界湯」は、東京を代表するレトロな古銭湯です。
今の建物になったのは昭和29年。
ですが、銭湯を始めたのは終戦直後で、当時は健在が無かったので、バラック小屋で営んでいたそうです。
ドラマ「時間ですよ」(古い!)に出てくるような銭湯です。
銭湯巡りでしょうか、20代くらいの若いお客さんも何人かいました。
飲んだのは、近くの「笹新」。
太田和彦さんが好みそうな、渋い、大人の居酒屋です。
店構えからして敷居が高そうですが、入ってみると、カウンター中心の、居心地のいい店でした。
閉店まで残り30分ということで、とりあえずビールと前菜盛り、その後、お酒と〆鯖を注文しました。
お酒はなかなか通好みのものが揃っています。
客はサラリーマン中心。
一人、年配の人が、熱心に落語の話をしていました。
「志の輔が良いっていうけど、買いかぶりすぎだよな」
なんて。
ものすごく年季の入った落語ファンかと思ったら、「去年ぐらいからききはじめたんだけどさ」って、にわかファンじゃねーの!
《まるで銭湯の支店のような居酒屋》
かつては、エッセイストの町田忍さんが 銭湯の「レトロ感」にスポットライトを当てましたが、今回は、やはりエッセイストで漫画家の久住昌之さんが、銭湯と「その後の一杯」を結びつけて、銭湯飲み=庶民的のささやかなレジャーという付加価値を与えたました。
銭湯巡りファンの聖書ともいえる、久住さんの「昼のセント酒」を読んでみましたが、単なる銭湯案内にとどまらず、久住さんのこれまでの作家人生を振り返るかのような部分もあり、とても叙情的で読み応えのある名エッセイ集でした。
"どうせ流行りもんだろ"と食わず嫌いの方がいたら、ぜひ読んで見てください。
というわけで、そんな銭湯ブームに乗っかって、私もセント酒ってやつをやってみました。
JR上野駅から歩くと、動物園と不忍の池の間を抜け10分以上かかります。
しかし、唐破風作りの屋根に紺の暖簾がかけられた渋い玄関の佇まいを見れば〝これぞ東京銭湯〟と納得するはずです。
実は、10年前まで、この近くの谷中や上野桜木というところに住んでいたので、この銭湯にはよく通っていました。
久々の六龍鉱泉。
番台はちょうど引っ越した直後にフロント式になってしまったそうですが、脱衣所のロッカーは昔と変わらずレトロなデコラ貼りで、体重計・マッサージ椅子・エスキモーアイスの冷凍庫の風呂屋の三種の神器も昔のままです。
そして、モール泉は相変わらず真っ黒で、そして、相変わらずめちゃくちゃ熱い!
10秒も入っていられないほどですが、この熱さも東京銭湯ならでは。
それでも、常連さんは、平気な顔して入っているんですよね。
平気なのか、我慢しているのか、鈍感なのか……。
飲むなら、来た道の反対方向、東京メトロ・根津駅前の路地裏に、居酒屋や小料理屋が軒を連ねています。
おすすめは、「バーNEZZ」。
ここは、オープンの15年前から通っているバーで、 ちょっと偏屈ですが本当は気のいいマスターが一人でやっています。
ウィスキーとカルバドスの品揃えはピカチュー、ではなくピカイチです。
しかし、唐破風作りの屋根に紺の暖簾がかけられた渋い玄関の佇まいを見れば〝これぞ東京銭湯〟と納得するはずです。
実は、10年前まで、この近くの谷中や上野桜木というところに住んでいたので、この銭湯にはよく通っていました。
久々の六龍鉱泉。
番台はちょうど引っ越した直後にフロント式になってしまったそうですが、脱衣所のロッカーは昔と変わらずレトロなデコラ貼りで、体重計・マッサージ椅子・エスキモーアイスの冷凍庫の風呂屋の三種の神器も昔のままです。
そして、モール泉は相変わらず真っ黒で、そして、相変わらずめちゃくちゃ熱い!
10秒も入っていられないほどですが、この熱さも東京銭湯ならでは。
それでも、常連さんは、平気な顔して入っているんですよね。
平気なのか、我慢しているのか、鈍感なのか……。
飲むなら、来た道の反対方向、東京メトロ・根津駅前の路地裏に、居酒屋や小料理屋が軒を連ねています。
おすすめは、「バーNEZZ」。
ここは、オープンの15年前から通っているバーで、 ちょっと偏屈ですが本当は気のいいマスターが一人でやっています。
ウィスキーとカルバドスの品揃えはピカチュー、ではなくピカイチです。
《湯からあがってすぐ飲みたい人は》
風呂から上がってすぐに一杯飲りたい! という向きは、白金北里通り商店街の「アクアガーデン三越湯」がおすすめです。
こちら、銭湯の休憩所にバーが設えられており、生ビールが500円で飲めるのです。
恵比寿駅からだと徒歩で15分以上かかりますが、風呂上りの一杯のためと思えば苦ではないでしょう。
近くにはそばの名店「三合菴」や古民家バーの「きえんきえら」など、〝2軒目〟には事欠きません。
《マイナーな駅の見晴らし最高な銭湯》
東急大井町線・下神明駅から徒歩5分。
天然温泉が自慢の「宮城湯」の屋上には露天風呂があり、すぐそばを走る東海道新幹線の列車を眺めることができます。
夜は車窓から漏れる灯りがロマンチック。
開放感抜群です。
ただし、屋上露天風呂は毎週火曜日に男女入れ替え。
事前に確認してください。
駅前に戻れば、3軒ほど居酒屋が立ち並びますが、そのうちの1軒「寄楽」は、店主が土佐料理の名店・「ねぼけ」で修行。
なので、珍しい土佐料理のウツボのタタキなどが楽しめます。
メニューにはありませんが、言えばツウ好みの日本酒を出してくれます。
《お肌ツルツルの軟水銭湯》
板橋の日大病院近くの「第二富士乃湯」は、軟水の湯が自慢。
入ると本当に肌がツルツルしてくるんです。
なぜ軟水だとツルツルしてくるのか、よくわからないのですが。
入り口もなかなか雰囲気がありますね
これ、なんだと思います?
傘入れなんです。
穴があって、奥に突っ込むパターンもあり。
飲むなら、すぐ隣の「松葉寿司」がおすすめ。
寿司屋ですが、居酒屋使いが十分にできます。
女将さんのつくる煮物など、お惣菜が絶品!
もちろん、握りもうまいですが。
《情緒の街、神楽坂で一風呂一献》
神楽坂の路地裏にある「熱海湯」は、
全体的に小じんまりした作り。
外観も、内観も、コンパクトサイズで、
都会の中の銭湯という感じですね。
飲んだのは、近くの「樽八」という居酒屋。
劇団民芸の俳優さんの奥さんが経営しています。
特に売りになるお酒もおつまみもありませんが、そこがいいというか、のんびりできるというか。
お芝居をしている方でしょうか、常連さんと女将さんの話を聞きながら、静かに飲むのもまたいいものです(時に話に加わりかがら)。
今回、青森出身の女将さんが、子供のころに経験した、防空壕の話とか、戦時中の貴重な話を伺いました。
《一度は行っておきたい古銭湯》
日本橋人形町の「世界湯」は、東京を代表するレトロな古銭湯です。
今の建物になったのは昭和29年。
ですが、銭湯を始めたのは終戦直後で、当時は健在が無かったので、バラック小屋で営んでいたそうです。
ドラマ「時間ですよ」(古い!)に出てくるような銭湯です。
銭湯巡りでしょうか、20代くらいの若いお客さんも何人かいました。
飲んだのは、近くの「笹新」。
太田和彦さんが好みそうな、渋い、大人の居酒屋です。
店構えからして敷居が高そうですが、入ってみると、カウンター中心の、居心地のいい店でした。
閉店まで残り30分ということで、とりあえずビールと前菜盛り、その後、お酒と〆鯖を注文しました。
お酒はなかなか通好みのものが揃っています。
客はサラリーマン中心。
一人、年配の人が、熱心に落語の話をしていました。
「志の輔が良いっていうけど、買いかぶりすぎだよな」
なんて。
ものすごく年季の入った落語ファンかと思ったら、「去年ぐらいからききはじめたんだけどさ」って、にわかファンじゃねーの!
《まるで銭湯の支店のような居酒屋》
西武池袋線・桜台駅から歩いて5分の「久松湯」は、2年ほど前にリニューアルし、ガ然オシャレになりました。
浴室は白と黒のタイル貼り。
壁には刻々と変化する光のアートがタイル絵代わりに映し出されます(投射は18時から)。
外には天然の露天風呂も。
モダン高級旅館…例えば「ほし●や東京」のような(行ったことはありませんが)ぜいたく感が楽しめます。
銭湯の前にはおあつらえ向きに赤提灯が。
福島出身の主人が営む居酒屋「白河」です。
あまりにも目の前にあるので、銭湯の支店かと思いました。
プレハブのような外観。
銭湯の後の一杯はやはりこういう店に限ります。
奥さんの手料理が素朴ながら美味しいんです。
旦那さんが、ずっと客席で飲んでるのも、味ですよね(笑)。
また、行きたくなりました。
もちろん、お風呂とセットで。
浴室は白と黒のタイル貼り。
壁には刻々と変化する光のアートがタイル絵代わりに映し出されます(投射は18時から)。
外には天然の露天風呂も。
モダン高級旅館…例えば「ほし●や東京」のような(行ったことはありませんが)ぜいたく感が楽しめます。
銭湯の前にはおあつらえ向きに赤提灯が。
福島出身の主人が営む居酒屋「白河」です。
あまりにも目の前にあるので、銭湯の支店かと思いました。
プレハブのような外観。
銭湯の後の一杯はやはりこういう店に限ります。
奥さんの手料理が素朴ながら美味しいんです。
旦那さんが、ずっと客席で飲んでるのも、味ですよね(笑)。
また、行きたくなりました。
もちろん、お風呂とセットで。
■六龍鉱泉
東京都台東区池之端3-4-20 ℡03・3821・3826 月休
■アクアガーデン三越湯
東京都港区白金5-12-16 ℡03・3473・4126 金・第3木休
■宮城湯
東京都品川区西品川2-18-11 ℡03・3491・4856 月休
■第二富士乃湯
■世界湯
東京都板橋区大谷口上町48−9 TEL03・3956・6382 金休
■熱海湯
東京都新宿区神楽坂3丁目6 TEL03・3260・1053 土休
■世界湯
東京都中央区日本橋人形町2丁目17−2 TEL03・3666・7663
■久松湯東京都練馬区桜台4-32-15 ℡03・3991・5092
※日刊ゲンダイに寄稿したものを大幅に修正・加筆しました
※日刊ゲンダイに寄稿したものを大幅に修正・加筆しました
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